「運動しても膝の痛みが減らない…」そんなあなたに必要なのは“体重との向き合い方”かもしれません
「運動は膝にいいって聞いたのに、ぜんぜん痛みがよくならない…」
そんな経験はありませんか?
実は、運動が効く人と効かない人には、ちょっとした違いがあるんです。
今回は、医学研究に基づいて「本当に痛みを減らすには何が必要か?」を、やさしくお伝えします。
運動だけで膝の痛みは減るの?
結論から言うと…
✅ 運動だけで痛みが減る人もいれば、そうでない人もいます。
たとえば、
- 比較的体重が軽い
- まだ症状が軽い
- 運動によって筋力や柔軟性が高まれば安定する
こういう方には、運動だけでも痛みが軽くなる可能性が高いです。
運動だけでは痛みが変わらない… その原因は?
その最大の理由は…
🔍 「関節にかかる体重の負担が大きすぎる」こと。
どれだけ運動をがんばっても、
体重が変わらないままだと膝への負担は減らないため、痛みが残ってしまうことがあります。
実際の研究が証明しています
アメリカで行われた「ADAPT試験」という大規模な研究では、
60歳以上の肥満の方を対象にして、次の4つのグループに分けて比較が行われました。
- 健康生活のアドバイスのみ(対照群)
- 運動だけを行ったグループ
- 食事制限だけを行ったグループ
- 運動+食事制限の両方を行ったグループ
それぞれの結果は以下の通りです。
【グループ別の変化まとめ】
- 健康生活のみ:ほとんど変化なし
- 運動だけ:歩ける距離は伸びたが、痛みの改善は見られず
- 食事だけ:体重は減ったが、動きやすさに変化は少なかった
- 運動+食事:✅ 痛み、機能、体力すべてが大きく改善!
つまり何が大事なの?
✅ 運動は大切。でも、“体重を少し減らすこと”を組み合わせると、効果がぐっと高まります。
たとえば、
「体重の5%を減らす」だけでも、膝の痛みが軽くなるという研究があります。
体重60kgの人なら、3kg減が目安です。
これは、食事の見直しと軽い運動を組み合わせれば、無理なく達成可能です。
理学療法士からのアドバイス
運動はあなたの体に合った方法を選ぶことが大切です。
「痛みが出にくい動き方」や「負担の少ない筋トレの工夫」など、
理学療法士はプロの目線でサポートできます。
また、必要に応じて医師や栄養士と連携しながら、あなたに合った進め方を一緒に考えることも可能です。
まとめ
- 膝の痛みには運動が大切
- でも、体重の影響を見逃さないことも重要
- 運動と減量を組み合わせることで、より早く・確実な改善が期待できます
よくある質問(Q&A)
Q. 食事だけで体重を落とせば運動しなくてもいい?
A. 体重が減っても筋力が落ちると逆効果です。運動も一緒に取り組むことがベストです。
Q. どんな運動がいい?
A. ウォーキングやスクワットなど、膝に負担の少ないものから始めてOK。週2〜3回の軽い運動で十分です。
まずは一歩ずつ、できることから
「少し歩いてみる」
「夕食のご飯を少し減らしてみる」
「週1回だけでもストレッチする」
そんな小さな一歩でも、膝の痛み改善に大きく近づきます。
焦らず、でも確実に。
一緒に未来を変えていきましょう!
参考文献
- Messier SP, et al. Exercise and dietary weight loss in overweight and obese older adults with knee osteoarthritis: the Arthritis, Diet, and Activity Promotion Trial. Arthritis Rheum. 2004;50(5):1501–1510.
- Christensen R, et al. Effect of weight reduction in obese patients diagnosed with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Ann Rheum Dis. 2007;66(4):433–439.
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